【論文】ラムシルマブ+パクリタキセル併用療法患者における好中球減少発現に関するリスク因子の検討(医療薬学 VoL.44 128-135(2018))
- 2018.03.21
- 論文

久々に読んだ論文について。
「ラムシルマブ+パクリタキセル併用療法患者における好中球減少発現に関するリスク因子の検討」
こちらを読みました。後ろ向きのコホート研究です。
胃癌の二次化学療法としてこのラムシルマブ+パクリタキセル(RAM+PTX)は行われるのですが、血球数が下がって治療の中止、減量が結構あるなぁっといったイメージです。何がリスクなんやぁ?っと気になります。
さて、結論から書きますと。この論文では、
「リンパ球数が1260/μLを下回っていたらGrade3以上の好中球減少が起こりやすい」
との結果が出ていました。
内容をみていくと、
Grade3未満の好中球減少発現群14名、Grade3以上の好中球減少発現群12名、計26名の患者背景を比較検討していました。うち1例でPTXの減量が開始時からありました。観察期間は治療終了までです。
比較内容は、性別、年齢、体表面積、前治療レジメン数、前治療内容、各血球数、アルブミン値、腎・肝機能、尿タンパクです。すべて治療開始時の値です。
単変量解析を行ったところ、前治療のカペシタビンの有無(P=0.015)とリンパ球数(P=0.010)の2つに差がありました。続いて、この2つを説明変数にロジスティック回帰分析を行ったところ、リンパ球数のみがGrade3以上の好中球減少に影響を与える因子であるとの結果となりました。(P=0.021)
また、Grade3以上の好中球減少とリンパ球数についてROC解析を行ったところ、リンパ球数のカットオフ値は1260/μLでした。(ROC曲線下面積:0.7976、感度:91.7% 特異度:71.2%)
これらの結果を受けて、リンパ球の寿命は数日~数か月、年単位と長いが、これが低値ということは前治療の影響を受けて骨髄の造血能力が低下していることが示唆される。なので、リンパ球低値だと好中球減少が強く生じる可能性が予測される。と考察されていました。
ふむふむ。明日から、リンパ球数の値をじっと見てみよう。
この論文をみて疑問に思ったのは、「観察期間中の治療強度について差はなかったのだろうか?」ということです。バラついていたら治療強度も解析時に説明変数に入れないといけないもんなぁっと思いました。うーむ。
勉強になった。
これからもちょいちょい論文読んでみよう。
ではまた次回。
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