【学会記】日本エイズ学会その2
- 2017.11.26
- 日々の学び

いやぁ。勉強になりました。
特に楽しく、勉強になったのが、ある症例についてのグループ討論形式のワークショップ!
ちょっとその内容を記載しておこうと思います。
症例は、既往歴に梅毒、HCV・HBV感染があり。併存疾患として抗TG血症、慢性蕁麻疹、精神疾患がある50才代MSMのHIV患者。時折、下痢があるとのこと。特定のパートナーはなし。仕事は朝7時から22時までで、昼に中休みがある。朝食は仕事が早いため摂れないこともあるとのこと。サプリメントの使用はなし。薬物アレルギー歴なし。腎障害・肝障害なし。一日20本程度の喫煙習慣があります。
抗HIV療法は過去にDTGによる肝障害の疑い(黄疸、白色便)があったため(同時期にHCV感染判明)、現在はRAL+TDF/FTCにて治療中です。ウイルスは制御できています。
抗HIV薬の内服が大変であり、1日2回の内服薬から1日1回へ変更したいとの希望があり、今回相談にみえたとのことでした。
併用薬は(うろ覚えですが)
(皮膚科)
ヒドロキシジンパモ酸塩
ファモチジン
エバスチン
(精神科)
ブロマゼパム
トラゾドン
エスゾピクロン
ペロスピロン
(感染症内科)
ベザフィブラート
ロペラミド(屯用)
こんな感じでした。(もうちょっとあった気がするけども忘れた (;´Д`) )さあ!皆様どうする!?って感じのセッションでした。
もう腕?がなるぜーって感じでワクワクしながら過ごしてました。
が、、
考えてみるとかなり大変。泣
HBVの既往と骨・腎障害のリスクのことを考えてTDF/FTCをTAF/FTCに変更しよう。ABCは心血管疾患のリスク(喫煙習慣、脂質異常症)もあるし止めておこう。までは異論なく進んでいったのですが、RALをどうしようってところで、色々と意見がありました。
・精神疾患があるからEFVは避けたい。
・H2ブロッカーがあるからRPVは避けたい。
・脂質異常症、CYP3A4関連の相互作用があるからDRV/r(RTVブースト)は避けたい。
・DTG使用時の肝障害は本当にDTGのせい?(HCVのせい?)
・DTGの中枢神経関連の副作用が気になる。
・休日はどう過ごしているんだ?
などなど。
ウチのグループでは結局
①ゲンボイヤ(精神科使用薬の血中濃度上昇に注意、減量、他剤変更を考慮する)
②ドルテグラビル+テビケイ(肝障害に要注意して。以前の症状はHCVによる肝障害と考えて)
③将来RALが1日1回の適応が通るので、それまでは現在の治療を継続して頂く
といった案にまとまりました。他の班も大体同じような案でした。
正解はないのですが、どれもすごく参考になるお話でした。
本当に勉強になりました。
セッションの最後には「薬剤師として皆様は何をしたいですか?」との問いかけを演者の先生から頂き、
「その人らしい生活の支えになりたい」と改めて考えさせられた良い機会にもなりました。
できることは限られてるけどね。まあ自分なりに頑張ります。
さて、出張報告書書かねば(ーー゛)メンドイ笑
ではまた次回。
-
前の記事
【学会記】日本エイズ学会その1? 2017.11.25
-
次の記事
【読書】最強の成長術 PEAK PERFORMANCE 2018.01.01