【薬の勉強④】ムコスタ(レバミピド)

【薬の勉強④】ムコスタ(レバミピド)

本日はこちら
ムコスタ
レバミピド(ムコスタ)です。

昨日まとめたロキソプロフェンナトリウムのお供として処方されることの多い薬剤です。

さっそく情報をまとめます。

【効能・効果】
効能・効果は2つあります。

・胃潰瘍

・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善

急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

胃薬ですね。

その薬理作用をみてみると

【薬効薬理】
14個もの薬効薬理が記載されていました。よく似ている作用も記載されてはいますが、すごく多い。

1.実験胃潰瘍に対する抑制作用及び治癒促進作用
2. 実験胃炎に対する抑制作用及び治癒促進作用
3. 胃粘膜プロスタグランジン増加作用
4. 胃粘膜保護作用
5. 胃粘液量増加作用
6. 胃粘膜血流量増加作用
7. 胃粘膜関門に対する作用
8. 胃アルカリ分泌亢進作用
9. 胃粘膜細胞回転賦活作用
10. 損傷胃粘膜修復作用
11. 胃酸分泌に対する作用
12. 活性酸素に対する作用
13. 胃粘膜への炎症性細胞浸潤に対する作用
14. 胃粘膜における炎症性サイトカイン(インターロイキ
ン- 8 )に対する作用

もう、これでもかってくらい書いてあります。

インタビューフォームに素敵な図がありました。

ムコスタ作用機序

ムコスタさん。今まであなたの事良く分かってなかったよ。君はすごい薬だ。

沢山薬効があって分かりづらいので、超簡単にまとめると

・胃粘膜内のプロスタグランジンE2(PGE2)を増やし、胃の機能を守り、向上させる。
・胃酸分泌は抑制しないことが分かっている。(胃の機能は邪魔しない)

こんな感じです。笑 (研究関係者に怒られそうだが。)

ではその効果の程度はというと、

【臨床成績】
添付文書の内容を抜粋します。

1. 胃潰瘍の治療効果
胃潰瘍に対する最終内視鏡判定は、治癒60%(200/335例)、略治※以上67%(224/335例)であった。 更に、本剤1日用量300mgで治癒した症例のうち67例を 6 カ月間追跡調査した結果、再発が認められた症例は 4 例であり、再発率は約 6 %であった。

※略治:再発の可能性のある状態

2. 急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の治療効果急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期を対象とした試験での全般改善率は80%(370/461例)、最終内視鏡判定における中等度以上の改善率は76%(351/461例)であった。

まずまず、高い効果かなと思います。

インタビューフォームには使用成績調査(平成2年9月~平成8年9月)の結果も記載されています。

9割以上の効果ですね。すごい。

また、気になるロキソニン等のNSAIDsによる胃粘膜障害についても記載がありました。

・非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)による胃粘膜傷害患者での検討

非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)による胃粘膜傷害患者 58 名(有用性解析症例:46 例)を対象に、1 日量として本剤 300mg 投与、治療期間を 8 週間として検討した結果、本剤の有
用性が確認された。

ふむ、詳細は不明ですが、こちらは恐らくNSAIDsと併用した効果ではなく、NSAIDsによる障害→ムコスタ使ってみたってかんじでしょうか。

臨床成績をまとめると、

ムコスタなかなか効果高いってことです。

では、安全性はどうでしょうか?

【副作用】
添付文書にはこのような記載があります。

調査症例10,047例中54例(0.54%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。

安全性はすごく高いです。

【その他】
・相互作用
ありません。

・禁忌
本剤に過敏症の既往歴のある患者のみ

・気になるNSAIDs胃障害の予防効果
臨床的には、ロキソニン&ムコスタって処方が多いので、その効果はどうなんやろか?とちょっと検索してみたところ。

Rebamipide does not protect against naproxen-induced gastric damage: a randomized double-blind controlled trial.

タイトルから結論が分かる。笑 面白そうな論文を発見。

こちらはブラジルのサンパウロ大学で行われた無作為二重盲検対照試験で、2016年に論文が出されています。

要約を見てみると。

(患者)
・男女24名の健常人ボランティアが対象

(方法)
・ナプロキセン1日1100㎎分2+レバミピド200㎎分2 or プラセボの2群分けて比較
・上記を7日間施行。
・試験前後で内視鏡検査を行った。
・主要評価項目は内視鏡で観察される損傷(Cryer scoreと※Lanza Scoreで評価)、副次評価項目はPGE2(内視鏡で組織を生検、ELISA法で定量化)

※Lanza Score=0~4段階評価で、数字が大きいほど重症

(結果)
・Cryer scoreは両群に差がなかった。Cryer scoreスコアの中央値は両群とも4。(差=0、95%CI=-1~0、p=0.728)
・2群間の平均PGE2濃度に差はなかった。(p=0.975)

この論文からいえることはレバミピド200㎎/日 分2はナプロキセン1100㎎/日 分2による胃粘膜障害を予防できなかったってことですね。

ナプロキセンの日本の通常量は1日 量300~
600mgなので、かなり高用量であるのと、レバミピドはちょっと少ない量なので(通常は300㎎/日)この結果だけで、直ちに日常の「ロキソニン&ムコスタは意味がない」とは言えないと思います。しかし、ムコスタを飲んでいるから絶対に大丈夫なんだってことはなさそうだなぁと感じました。

でもまあ、レバミピドは安全性が高いので、現時点で併用することが特別問題があるとは言えないなぁと思いました。1錠10円程度ですし。

【レバミピドまとめ】
・ムコスタの薬理作用は多く、効果は高い。
・安全性も高い。
・しかし、NSAIDsによる胃粘膜障害に対する予防効果はあまりなさそう??

本日はここまでです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

ではまた次回。