【薬の勉強②】メリスロン(ベタヒスチン)
- 2018.07.01
- 薬の勉強

今日はこちらの情報を
メリスロン(ベタヒスチン)です。日常業務でよく見かける薬のひとつ。
さっそく情報をまとめてみます。
【効能・効果】
効能・効果は一つです。
①下記の疾患に伴うめまい、めまい感
メニエール病、メニエール症候群、眩暈(めまい)症
「めまい」のお薬ですね。
ここでメニエール病について簡単にまとめておきます。
回転性めまいを起こす代表的な病気に「メニエール病」がある。内耳(ないじ)の膨張によって起こり、耳鳴りや難聴などの耳の症状を伴う。内耳は、バランス感覚を調整する機能を持つため、内耳の異常が「めまい」という症状を引き起こすことがある。
内耳は耳の奥です。
ぐるぐるとカタツムリみたいな形をしているところが蝸牛(かぎゅう)です。
さて次に、
【薬効薬理】
ベタヒスチンは「ヒスタミン類似作用」があり、これにより末梢血管を拡張してくれます。
添付文書には3つの薬効薬理が記載されています。
- 内耳循環障害の改善
- 内リンパ水腫モルモットの蝸牛管血流量の増加
- 脳内血流量の改善
内耳の異常を直してくれるので、メニエールによる眩暈の症状を治してくれるんですね。
では、その効果はどうか?
添付文書には以下の記載があります。
(臨床効果)
「総計875例について実施された二重盲検試験を含む臨床試験で、本剤はメニエール病、メニエール症候群、眩暈症等に伴うめまい、めまい感に対して有用性が認められている。」
、、具体的な数字がないので、効果の程度は分かりませぬ…
インタビューフォームには上記に加えて以下の記載がありました。
「メリスロン錠 6mg(1 回 2 錠、1 日 3 回、2 週間連続経口投与)とプラセボとの二重盲検交叉法により、各種眩暈症に対する有用性を検討した。自他覚所見の変動よりプラセボに比べてメリスロン錠の有効性が逐次検定により確認され、副作用についてはプラセボと有意差は認められなかった。」
添付文書と同じく効果のほどは分かりませんが、副作用がプラセボと差がないので安全性の高い薬剤と言えます。
【使用上の注意】
ベタヒスチンの「ヒスタミン類似作用」により症状を悪化させる恐れがあるため、以下の方には慎重に投与する必要があります。
(慎重投与)
- ・消化性潰瘍の既往歴のある患者及び活動性の消化性潰瘍のある患者
- ・気管支喘息の患者
- ・褐色細胞腫のある患者
でも、絶対使ってはダメ(禁忌)ではありません。
【その他(長期使用について)】
効果について具体的な記載がなかったので、少し検索してみたところ、以下の論文を発見しました。
Efficacy and safety of betahistine treatment in patients with Meniere’s disease: primary results of a long term, multicentre, double blind, randomised, placebo controlled, dose defining trial (BEMED trial).
ベタヒスチンの長期の有用性はどうか?といった内容で2016年に出された論文です。ドイツで行われた試験のようです。
要約をみてみると
(患者)
・対象患者の平均年齢は56歳。
・プラセボに74名、低用量ベタヒスチン(1回24㎎を1日2回)群に73名、高用量ベタヒスチン群(1回48㎎を1日3回)に74名が割り付けられた。
(方法)
・9か月間上記の治療を継続。
・治療開始後7か月目~9か月目の患者の日記を用いて治療効果を評価。
(結果)
・主要評価項目は「30日当たりのめまい発作の発生率」。
・3つの治療群で発生率に差がなかった。(P=0.759)
・プラセボと比較した発作発生比率は低用量群で1.036(95%信頼区間0.942-1.140)、高用量群で1.012(95%信頼区間0.919-1.114)だった。
この論文からは「ベタヒスチンの長期投与は眩暈発作の予防に効果はない」と言えます。しかも、論文中の低用量群でも日本の通常用量よりも多いっていう。(日本の成人の通常用量:1回6~12㎎を1日3回食後に投与)
添付文書やインタビューフォームの情報を合わせると、ベタヒスチンの短期的な使用は効果があるんだろうけど、長期的な使用はあまり意味ないかも?
【ベタヒスチンまとめ】
まとめると
・ベタヒスチンは内耳の障害を改善して眩暈の症状を治す。
・安全性は高いがヒスタミン類似作用のため、慎重投与が必要な場合もある。
・長期使用による眩暈発作予防効果はないと思われる。ずっと使うのはやめた方がよいかも?
本日はここまでです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ではまた次回。
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